農業を選択する前に

農業とはどんなものであるかを十分に理解することが必要です。

まずは、情報集めです。

以下のサイトで有用な情報が提供されています。また、就農相談会がオンラインで開催されていることもあります。

↓(一社)全国農業会議所が運営しているサイトです。
農業をはじめる.JP

長野県で農業を始めてみませんか?
https://www.pref.nagano.lg.jp/noson/sangyo/nogyo/shinki/nogyo/

デジタル農活信州
https://www.noukatsu-nagano.net/

須坂市で就農しませんか
https://www.city.suzaka.nagano.jp/contents/item.php?id=5906ce7380783

次に、大事なのは農業を体験することです。

就農体験研修:
長野県農業大学校研修部では、農作物の栽培技術・農業機械の研修や、農業体験を行なっています。

【お問い合わせ】
長野県農業大学校研修部
〒384-0807 長野県小諸市山浦4857-1
TEL 0267-22-0214
URL https://www.pref.nagano.lg.jp/nogyodai/kenshubu/index.html

ワーキングホリデー:
ボランティアで農家の実際の農作業を行います。
農業に関心がある方や農業に取り組んでみたい方と、農繁期の手助けを必要としている農家を結びつける「農村・農家の暮らしと仕事体験」で、長野県飯田市をはじめ各地で行われている“援農”制度です。
他にも就農体験・研修を実施している市町村は県内に数多くあります。

農家に直接依頼する:
果樹や野菜の収穫に忙しい時期を狙って、仕事の手伝いを申し出れば、何かやらせてくれるはずです。
アルバイトの募集もあります。

農作業が分っても、「農村の暮らし」が分からないと続きません。

農村に暮らす家族の理解、家族単位での農作業となることの理解、周りの方の協力、が不可欠です。
地域社会に溶け込む努力も不可欠となります。(ここがたいへんなので、親しい関係になれる人を発見できるかどうかがポイント)

農業の種類

耕種農業(土を耕し作物を育てる)⇒畑で栽培(露地栽培),ハウスで栽培(施設栽培)

畜産(家畜を育てる)⇒家畜(牛,豚,鶏等) 牛→肉を生産(肥育経営),乳製品原料(酪農)

農業のやり方

*事業としての農業(農業法人)
*就農
*家庭菜園(農地ではない)

独立就農のための要素

①技術・ノウハウ
②資金 (無利子の融資制度有⇒日本政策金融公庫)
③農地取得
④機械・施設
⑤住居

ノウハウ(農ハウ)について

農業や林業、水産業に携わる皆さんが普段行っている独自の調整や、ちょっとした工夫や顧客リスト,地域のネットワーク等も「ノウハウ(営業秘密)」と呼ばれる立派な知的財産です。その調整のための労力によって得られた知識が他の人に伝わると、労力を費やした人が損をし、労力を費やさずに知識を得た人が得をします。そのようなことはあってはなりません。農業を続けていくやる気も失われてしまうことでしょう。そのために、その知見を守らなければなりません。

ここで、ノウハウにはいろいろなものがあります。

技術上の情報としては、
・スマート農機や水田の水管理システムの調整方法
・代々引き継がれてきた栽培方法
・施肥のタイミング
・効率的な耕耘方法・土づくりの工夫
・植物の品種
・蓄積された栽培データ
・自分で編み出した肥料の量とバランス
・授粉の方法、餌の調合
などがあり、

営業上の情報としては、
・顧客リスト,取引先情報
・地域の人的ネットワーク
などがあります。

このようなノウハウは、一定の条件の下、不正競争防止法という法律で保護されます。
保護を受ける条件としては、秘密として管理されていること(秘密保持性)、有用な営業上又は技術上の情報であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)です。

・対策
何がノウハウに該当するかを見直す。
その工夫を紙媒体のメモではなく電子データ化し、きちんと秘密の状態に管理する。

秘密の状態に管理:「その保有者が主観的に秘密にしておく意思を有しているだけではなく、従業者、外部者から、客観的に秘密として管理されていると認められる状態にあることが必要」
①当該情報にアクセスできる者が制限されていること(アクセス制限の存在)
②当該情報にアクセスした者に当該情報が営業秘密であることが認識できるようにされていること(客観的認識可能性の存在)

この不正競争防止法による保護を受けるには、かなり厳格でハードルが高い要件を満たす必要があります。

・契約
他人に教える際は、どんな相手であっても、きちんと契約を結ぶことです。契約書や覚書等で書面化することが大切です。
「秘密保持契約」という契約を結んで、第三者に情報を開示しないこと、契約期間中に同種若しくは類似の事業を行わないこと、などの条項を盛り込みます。これらの条項に違反した場合に損害賠償の責任が生じることもしっかりと記載しておきます。

これらの点について難しいと思われる際はご相談ください。

農林水産省のウェブサイトにも有用な情報が掲載されています。
例えば、

農業分野における生産技術・ノウハウ等の知的財産としての管理に関するアンケート調査の結果及び普及啓発用パンフレットの作成等について

農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン~農業分野のノウハウの保護とデータ利活用促進のために~

ノウハウをうまく管理できれば、農林水産業で事業を継続するのに十分な利益を上げて後継者を探すことも容易になるでしょう。

ステップとして

・農業法人に就職して技術を学びながら資金工面~農地取得し独立就農を目指す
・自治体等が実施している研修・助成を受け独立就農を目指す

農地を確保

農地を確保するためには、

農地法第3条の許可を受け所有権を取得する方法、
賃借権などの使用収益権を設定する方法、
農業経営基盤強化促進法に基づき農地の利用権を設定する方法,

などがあります。

農地の売買、貸し借りに関する手続き(農地法第3条)(後記の「農地法の手続き(長野市)」ご参照ください。)

農地を耕作目的で売買・貸借をする場合は、農地法第3条の規定により申請し、農業委員会*の許可を得ることが必要です。
ただし、譲り受ける人またはその世帯員が必要な農作業に常時従事する、などの要件を満たさない場合、許可が与えられません。

農業委員会について(農林水産省)

農業委員会:農地等の利用の最適化の推進が使命
農地法に基づく売買・貸借の許可、農地転用案件への意見具申、遊休農地の調査・指導などを中心に農地に関する事務を執行する行政委員会。原則として、市町村に1つ設置。市町村長が議会の同意を得て任命した「農業委員」で組織

*長野市:市役所第2庁舎8階

農地法の手続き(長野市)
(申請書の記入例あります。)

農地転用

農地の転用に関する手続き(農地法第4条、第5条)

 農地を住宅、資材置場、道路、駐車場など、農地以外の用途で利用する(転用する)場合は、農地法第4条または第5条の規定により申請または届出をする必要があります。

 ・第4条での申請・届出:自分の所有する農地を自分で使うために転用する場合
 ・第5条での申請・届出:他者に売ったり貸したりするために転用する場合

農地が市街化区域*にある場合(許可申請)⇒県知事(4haを超える場合は農林水産大臣)の許可

 申請地が営農条件及び周辺の市街地化の状況から判断して妥当であるか、など種々の要件があります。
 事前に農業委員会事務局へ相談することが推奨されます。

農地が市街化区域にある場合(届出)⇒農業委員会への届出

 農地を転用する際の厳しい規制はありません。

*市街化区域:既に市街地を形成している区域と今後概ね10年以内に(事業の着手は5年以内)計画的、優先的に市街化が図られる区域
市街化調整区域:原則として市街化を抑制すべき区域であり、開発行為に対しては厳しい規制

農地法の手続き(長野市)
(申請書の記入例あります。)

農地の相続について

農地を相続した場合、農業委員会への届出が必要とされています。

誰の農地か分からなくなってしまうことを防ぐため、とされています。

相続発生後、10カ月以内となっています。

知的財産の活用

そもそも農作物を作っても安くしか売れないのであれば儲かりません。
高く売るためには、ブランド品に育てる必要があります。

ブランド品になれば、欲しがる人が増えるので価格を比較的高く設定することができます。
ブランド品にするためには、勝手に作られない、使われない、真似されないようにしなければなりません。
そのために知的財産権があります。

栽培方法の特許権、個性的な外観のソーセージは意匠権、農作物のネーミングや図柄は商標権、のように国から権利が与えられると、その権利で日本国内で他人の実施や使用を止めさせることができます。

知的財産権を活用してください。

海外で販売する場合には、その国での権利取得も大事です。

*農林水産知的財産特設サイト/農林水産分野無料相談窓口
農林水産分野の知的財産に関する弁理士会の特設サイトです。

「農ハウ」の保護も大事です(上記)。
・栽培方法
・施肥のタイミング
・肥料の量とバランス etc.

品種登録

新品種の育成に労力と費用を投下した育成者の権利を保護し、新品種の育成の振興を図ります。
農林水産省品種登録ホームページ

品種登録出願の手引き

出願にあたっては、
自らが選択した類似品種との比較栽培試験
データの収集・整理
写真の撮影
種子の採取
・・・など、十分な準備が必要です。
(上記「品種登録出願の手引き」より)

地理的表示(GI)保護制度

地理的表示(GI)保護制度:農林水産省

地理的表示(GI︓Geographical Indication):
農林水産物・食品等の名称で、その名称から当該産品の産地を特定でき、産品の品質等の確立した特性が当該産地と結び付いているということを特定できる名称の表示。

長野県では、「市田柿」、「すんき」などが登録されています。

地理的表示を知的財産として保護し、もって、生産業者の利益の増進と需要者の信頼の保護を図ります(地理的表示保護法)。

農林水産大臣に登録申請を行うお手伝いをします。